こたつとコード

エンジニアの読書手帖

家の J:COM Wi-Fi 不調を調べる中で学んだ、自宅ネットワーク環境の基本的な用語や違い

家では J:COM を使用している。基本的に Wi-Fi は問題なく使えているのだが、時々不安定になることがあった。 光回線にしたらいいとか有線にしたら良いとかは聞くが、そもそも Wi-Fi との違いもわかっていないので用語を含めて調べてみることにした。

計測

家の Wi-Fi 不調を調べるため、まずは速度を測定できるサイトを試した。今回 Speedtest by Ookla を使用したが、他にも色々あるらしい。

計測の結果と用語

実際に実行した結果は次のとおり

speedtest

この結果で出てくる用語を整理しておこう。*1

Download(下り速度)

インターネット上からデータを受け取る速さが Download。単位は Mbps。動画視聴や Web 閲覧は Download が重要になる。

Upload(上り速度)

インターネットにデータを送信する速さが Upload。こちらも単位は Mbps。ビデオ会議で映像を送ったりファイルをアップロードするのは Upload に依存する

Ping(レイテンシー)

Ping は回線の応答時間。自分の端末からサーバーまでパケットを送って戻ってくるまでの往復時間で、単位はミリ秒(ms)。ネットワークの反応の速さを表す。20 ms 以下が良好、50 ms あたりまでは問題なし、100 ms を超えると遅延を体感する、というのが目安らしい。

Download/Upload (Mbps) は流れの太さ、Ping は反応の速さ。動画を見るだけなら太さが大事だが、ビデオ会議やゲームでは反応の速さの方が体感を決める。

Jitter

Jitter は Ping のばらつきを表す。「20, 21, 19, 22, 20 ms」なら Jitter は小さく、「20, 287, 22, 412, 25 ms」なら平均は近くても Jitter は大きい。平均値が良くても Jitter が大きいと、ビデオ会議やゲームで「途切れた」「ラグった」という体感に直結する。「不安定」という体感は、平均速度ではなく Jitter として現れていることが多いらしい。


有線接続

有線接続と無線接続の結果差

ある日、Wi-Fiの調子がかなり悪かったタイミングで、無線と有線での結果を比較したところ、次のようになった。

項目 無線 有線 差分
ダウンロード速度 2.16 Mbps 753.76 Mbps +751.60 Mbps
アップロード速度 29.87 Mbps 95.95 Mbps +66.08 Mbps
PING アイドル 33 ms (低26 / 高26, Jitter 238) 20 ms (低14 / 高14, Jitter 4) -13 ms
PING ダウンロード時 157 ms (低26 / 高2111) 86 ms (低14 / 高142) -71 ms
PING アップロード時 30 ms (低17 / 高491) 24 ms (低10 / 高265) -6 ms

ここから、回線自体に問題があるのではなくて、Wi-Fiに問題があることがわかった。

無線通信は本質的に不安定で、近隣 Wi-Fi との干渉、壁による減衰、機器との距離など外的要因の影響を受ける。有線はケーブル内を物理的に信号が通るので、これらの影響を受けにくい。実際、今回のパターンで、無線はかなり調子が悪くなったが、有線は特に影響が出ていなかった。

「Wi-Fi が不安定」と感じたとき、まず有線で計れば、回線そのものの問題なのか Wi-Fi 区間の問題なのかが切り分けられる。 ちなみにこの日は一日中調子が悪かったのだが、モデムを再起動することで改善された。

通常時の差

項目 無線 有線 差分
ダウンロード速度 347.04 Mbps 777.36 Mbps +430.32 Mbps
アップロード速度 97.52 Mbps 89.9 Mbps -7.62 Mbps
PING アイドル 28 ms (低18 / 高18, Jitter 3) 29 ms (低18 / 高18, Jitter 9) +1 ms
PING ダウンロード時 65 ms (低18 / 高624) 72 ms (低18 / 高158) +7 ms
PING アップロード時 35 ms (低15 / 高262) 30 ms (低15 / 高261) -5 ms

無線の調子が悪くない日でも差を調べた。ダウンロード速度でも差は出ていたが、無線でもそこまで遅い速度ではなかった。特に差が出ていたのはダウンロード/アップロードの Ping の値で、通信の安定性が改善されていることがわかる。

J:COM のモデム

家のインターネットは J:COM の契約で、CATV (ケーブルテレビ) と同じ同軸ケーブルでインターネットを提供する方式だった。CATV の契約で家に設置されるのが モデム と呼ばれる機器で、信号を変換する役割を持つ。

家にあったのは KCM3101 という機種で、これは「モデム + ルーター + Wi-Fi アクセスポイント」が一体になった機器だった。「J:COM のモデム」と呼んでいるものは、実際にはそれだけではない。家庭向けの機器は次のように分類できる。

  • モデム単体: 信号変換だけ。ルーターを別途用意
  • ルーター単体: ネットワーク管理と Wi-Fi。モデムや ONU と組み合わせ
  • 一体型: 上記がひとつに収まったもの

なお、光回線では「ONU (Optical Network Unit)」がモデムに相当する。

有線接続する方法

ネットワーク機器の背面を見るまで、自分はインターネットへの接続を Wi-Fi 経由でしか体験したことがなかった。

モデムの背面画像

KCM3101 の背面には Ethernet (LAN) ポートが 4 つ並んでいる。ここにケーブルを挿せば有線接続になる(知らなかった)。Wi-Fi 機能とは独立しているので、Wi-Fi が不調でも有線ポートは普通に動く。

有線LANの規格

LAN には規格 (カテゴリ) があり、家にあったLANコンセントは「Cat5e」だった(設置されていたコンセントに書いてあった)。Cat5e は 1 Gbps 対応で一般家庭の標準。家庭の回線速度であれば十分だ。

規格 最大速度 最大周波数 用途・特徴
Cat5 100 Mbps 100 MHz 旧規格、ほぼ非対応
Cat5e 1 Gbps 100 MHz 一般家庭の標準
Cat6 1 Gbps (10 Gbps は 55 m まで) 250 MHz 現在の主流。家庭向けとしてもおすすめ
Cat6A 10 Gbps 500 MHz 家庭向けとしてもおすすめ
Cat7 10 Gbps 600 MHz 業務用
Cat7A 10 Gbps 1000 MHz 業務用
Cat8 40 Gbps 2000 MHz 業務用

*2 *3

家にあったLANコンセントは「Cat5e」だったが、互換性があったため有線LANは「Cat6A」のものを購入した。

amzn.asia


回線の種類

結局、回線の違いは何か。主な回線の種類を整理しておく。

項目 CATV 光回線 モバイル回線
媒体 同軸ケーブル (テレビと同じ) 光ファイバー 電波 (4G/5G)、SIM
上り下り 上りが下りより細い 対称または準対称 上りが下りより細い
安定性 地域内で帯域共有、混みやすい ノイズに強く安定 電波状況・混雑に依存、場所により不安定
契約 マンション一括が多い 個別契約が基本 個別契約 (SIM)
代表例 J:COM フレッツ光、auひかり、NURO 光など WiMAX、各社モバイル Wi-Fi ルーター

*4

同軸ケーブルは「電気信号」を運び、光ファイバーは「光の点滅」を運ぶ。長距離や高周波数での減衰やノイズの影響が違うので、安定性に差が出るらしい。

おわりに

Wi-Fi の不調自体は、有線LANを使用するというシンプルな対応で終わった。最初は光回線の導入を検討していたが、光回線の方が良いのは間違いなさそうだが、今回のようにそもそも回線を繋いだ以降のルーター部分やWi-Fiの環境部分で問題なこともある。その場合は有線接続などを行えば解決されることがわかったので、ゲームなどを行うわけではない私には光回線は不要だった。